What's new, Dear cat?



 獄寺君は、それはもう見事な外人面してて、
 髪の毛銀色、瞳みどり色、肌真っ白。
 そんなのはあたりまえ。
「……睫毛も銀色」
 顔近付けて耳元で呟くと彼は、正面向いて下向いて、目を逸らす。
「あっ、……姉貴は、上に黒のマスカラ塗ってんです。
 そのほうが目がデカく見えるとかなんとか、」
 いや、別に聞いてないんだけど。
「獄寺君、黒のほうが良かったの?」
「や、その。化粧なんて女みてーだし」
 しません。
 正座した、制服の膝の上で手がぎゅーっとなる。
「しない、けど……、姉貴みてーのが良かったらします。」
「じゃあして?」
「え、」
 獄寺君は、そういわれるとは思ってなかったみたいだ。
「じゅっ、じゅーだいめは、やっぱ、姉貴みたいなののほうがいいんすか?」
「みたいなのって?」
「っと、化粧、してて、髪長くて爪も長くて、その……っ、胸、とか、あって、」
 白い肌が、ぱーっと赤くなる。
 肌全体が赤くなるんじゃなくて、
 血管の通ってるところだけ、みたいな感じで、
 目尻の下のあたり、ほっぺたの一番高いところ。
 そこだけカーっと赤くなる。
「その人は、タバコ吸う?」
 銀色の睫毛が一度大きく瞬きした。
「なんかいっつも爆弾持ってて、年上にはケンカ売ってチビは蹴っ飛ばして、
 んでいっつも不機嫌そうに無愛想で、でもたまに笑って、
 それがなんかかわいくて、そんでオレのこと十代目って呼ぶ人なら、
 嫌いじゃないだろーね。」
 やっぱりすきになるのかもね。


 獄寺君はそれはもう見事に外国人なので、
 またぱちぱち瞬きしてオレにこう聞きました。
「十代目、それは浮気するってことですか?」
 獄寺君は時々日本語を理解してくれません。
 それはもう見事に外国人なので。
 その所為にさせてくれ、ああもう!
 これはオレにイタリア語覚えろってことか。
 そんで言えってか、
 愛してるよ、オレのかわいい銀色の子猫ちゃん。
        いやいやいやいやないないないないナイ!
 やめてくれオレは甲斐性なしの日本人だ!
「じゅーだいめぇ」
 緑の目がなんだか泣きそうで、オレは体中がガーッとしてきて、
 なんかもう、
 めんどくさいのでキスをする。




09.06.01.
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